書籍編集者 城村典子のブログ

そもそも出版企画書とはコミュニケーションツール <採用される商業出版の企画書とは その1>

正解はない

長く、出版社に努めていましたが
一般の方から
「自分の本を出してみたい」という話を聞いたら
「では、出版企画書にしてみてください」
と、ごく自然に返答していました。

しかし、実際、それで、企画書を送ってくれる人というのは
ごくまれ。

そのことに対して、当時は、あまり気にとめていませんでした。
あえて言語化するならば
「他社でいい話があったのかな」とか
「そこまで本気ではなかったのかも」
という感じでしょうか・・・

しかし、独立して、
多くのこれから著者になりたいという人の話を聞いていると
おそらく、こういうシーンでは
「出版企画書が書けなかった」というのが実態として一番近いのだろう
ということがわかってきました。

出版企画書というのは、
試験には、回答があるような
そういう、正解のあるものではありません。

出版企画書がなくても、本を出している著者もいるように
(編集者が、社内で企画書にしているわけですね)
必ずしも、出版企画書を書かなくては本が出せない
ということではないのですが
あると話が早いということです。

時折、10枚くらいの文章をもってきて
「私のいいところを探して下さい」
というような

編集者にかんがえさせようとする人もいますが
これは、北風と太陽でしたら、北風としか編集者は感じない。

編集者は、自分が「興味ある!」「何かおもしろい!」
というものにしか、動くことはありません。

また、編集者は、ありきたりのものは
ゴマンと日頃みているので

わかりやすく書くのは当然ですが
体裁を美しく整える、書く
というより
むしろ、ドロドロしてても
「何かありそう!」という期待感があるようなものの方が
編集者は好きです

10人の編集者がいれば10通りの回答

では、その編集者はどんなものが好きか
というのも、はなはだ難しい質問です。

というのは、編集者にも、
これ、いい企画だったのにどうして選ばなかったのか
という不正解は、ない。
つまり、正解もない。

というのは、
編集者の仕事は
出版社で、割り当てられた
自分の予算を達成することなのですが、

その達成は、つまり本をつくること
正確に言うと、売れる本をつくること。

ところが、何の本が売れるかというのは
本当にわからない。

これ、売れるだろう!
と気合を入れてつくったら売れなかったり、
さり気なくつくったものが売れたり・・・・

なので、編集者は
自分が、信じるものをしかつくれない。

でも、その編集者も
自分が興味や好奇心のあるものしか
一生懸命はつくれない。

となると、
いくらいい企画のような感じがしても
極端な話、若い男子編集者が
40後半、更年期障害女子の興味のあるコンテンツに
本人が興味を持つかというと、
その企画をやるなら、
自分が興味や関心のある企画をやった方が結果は出そう
という事例のように

編集者が10人いれば、10通りの感想が返ってくると
思っていいのです。

私もよく
10社の編集者に企画をみせたとき
平均的にいいと言われる企画は結局あまり決まらず
1社からは、「あり得ない!」と言われるようなものが
別の1社から「やりたい」
あとの8社は、スルー
なんてこともあり
偏りがおもしろいんだな、
と思ったりすることがあります

出版社ごとに基準が違う

しかも
出版社によっても特徴が違います。

現在登録されている約3000社のほとんどが
専門出版社です。

医療の専門、ITの専門、語学の専門、
書道書の専門、工業の専門などなど、

とすると、
例えば、医療専門の出版社に
一生懸命レシピ本や、小説の企画を持っていっても
先方も困る状況になります。

これは、わかりやすい例ですが
こんな状況がママあるわけです。

例えば、
IBCパブリッシングという出版社では
「日本人だけが知らない難解英単語」
なんていう本がロングセラーになっています。
また
リンダパブリッシャーズ という出版社では
「99のなみだシリーズ」が、定番商品になっています。

どちらも
他の出版社では
「どうやって扱ったらいいの?」というような内容ですが
それぞれ、
得意路線の中で、
他の出版社では、とても出版できないような特徴のある本が
それぞれの、出版社では、売れ筋になっています。

このように
出版社もそれぞれ、特徴があるし
編集者も特徴がある

なので

そもそも企画が悪ければ、
当然、企画が採用されないのは道理ですが

企画が採用されないからといって
必ずしも、企画が悪いとは限らない
企画が悪い →  不採用  これは 【正】
不採用 → 企画が悪い  これは 【一概には言えない】
ということなのです。

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