書籍編集者 城村典子のブログ

商業出版の企画書の項目とそれぞれの留意点〈採用される企画書とは その4〉   

出版企画書には、正解はない

「出版企画書ってどうやって書くのかわからない」
という声をよく聞きます。
確かに、ラブレターのようなもので、参考例はあるかもしれませんが、正解はありません。
ラブレターも、差し出す相手の個性もバラバラだし、好きになるところもバラバラですから、
人のラブレターを持ってきても、相手の心には響きませんよね。

それぞれの項目の留意点

とはいえ、企画書を書く上で参考になることを、少しお伝えしたいと思います。
まず私は下記の項目に分け、それぞれに解説したいと思います。

1 タイトル
2 著者名
3 概要
4 企画意図・背景
5 読者ターゲット
6 プロフィール
7 内容・構成
8 類書
9 類書との差別化
10 売り伸ばすプラン

それぞれのひとことアドバイスは
下記のURLをクリックしてごらんください。
企画書の雛形とともに、アドバイスが記載されています。
https://poempiece.pupu.jp/kikakusyo/kikakusyo.pdf

1 タイトル

タイトルをつけるとき、
売れている本のタイトルを真似よう、
というワークがあります。

売れている本には売れる理由があるので、
タイトルもとてもいいと思いますが、
そこにばかりとらわれていると、
自分が本当に伝えたい内容とずれてくることもあります。
よく吟味して、言葉を練ってほしいと思います。

2 著者名/肩書

ここは本名、またはビジネスネームで。
肩書に自分の会社の名前を、「株式会社◯◯ 代表取締役」と書く人がいますが、
トヨタやスターバックスなど著名な会社名なら意味がありますが、
会社が無名なら、専門性を出した肩書をつけるとよいと思います。

「士業繁盛コンサルタント」とか、
「家族が仲良くなるお家づくりアドバイザー」など、
企画書をつくるときに、肩書をつくってもいいと思います。

3 概要

ここを書くときに気をつけてほしいのは、
もちろん内容を要約して書くのですが、
読者の欲望を叶える効能がある、ということを忘れずに。

4 企画意図・背景

社会的ニーズがあり、そのニーズを応えられるのは自分だ、
という内容にします。
例えば、
パワハラ、過重労働などが問題となる昨今、
リーダーにはなりたくないという人が多いのです。
(実際統計等の数字があるといいですね)
自分は、長年リーダー研修を行ってきている、
企業研修講師で◯◯◯という実態を見てきて、
多くの企業から◯◯◯という評価をもらっている。
多くのリーダー◯◯◯人を指導し、
◯◯○の経験から生み出されたノウハウを、この本で伝える
など、
◯◯○はなるべく数字を入れ、説得力を持たせるといいですね。

5 読者ターゲット

ここに、往々にして、
「多くの人」とか「30〜40代のサラリーマン」など、
ざっくり書いてしまう人が多いのですが、
「ああ、こういう人にこの本ぴったりね!」
というイメージが湧くように書いてほしいと思います。

6 プロフィール

この本を書けるのは、自分だけ!
というくらい、内容と自分をツメてください。
前回もお話ししたように、
広く高くしなくていいのです。
3年前の自分に語りかけるように、ピンポイントでいいのです。

7 内容・構成

構成案を書きましょう。
目次ですね。

自分の伝えたい論旨をつくります。
5〜10章に分け、章タイトルをつけます。
さらに章を5〜10の節に分け、見出しをつけます。
自分のことを知らない人に対して、自分のノウハウ(この本の内容)を伝えるのですから、
どういう論旨をもって伝えるか、を考えます。
最初は、何を書くか、というメモ程度でかまいませんが、
だんだん、言葉を磨いてください。

例えば、
「成功は「気にしない人」だけが手に入れる」(信長著 秀和システム刊)
という本がありますが、
「万人にうける、そんな文章は書くな」という見出しの言葉があります。
これがただ「文章の書き方」だったら、おもしろいですか?
また、
「デブでダサくてもナンバーワンを目指せる」
という見出しだと、内容に期待感が湧きますが、
ただ「ナンバーワンを目指す方法」などと書かれていたら、
「そう簡単になれないよ」と思われてしまいます。

8 類書

これは、何か類型化した共通点のある本を選びます。
これを選ぶのは、類書のエリアがあるよ、
ということを伝えるのと、
市場がある本だが、その中で自分の立ち位置はかぶらないよ、
ということを、次の差別化で表現するためです。

9 類書との差別化

例えば、起業の本を書くにしても、
「主婦起業」「投資0起業」「7日間起業」などを並べ、
自分が書きたいのは、「50歳からのカンタン起業」だが、
こういう切り口の本はないが、ニーズはある、
ということをアピールします。

出版社としては、
この本を出したくなる理由が見えてくるわけです。

10 売り伸ばすプラン

ここは、
*著者の積極性(情熱)
*実際に実績のある人か
(本のコンテンツのエリアで活躍している人ならファンがいるはず)
などが問われます。

昨今、著者が自分で本を宣伝する力に
出版社の期待はどんどん強くなっている傾向を感じます。

出版企画書のダウンロードはこちらから! 
https://www.reservestock.jp/subscribe/MTFiNDEyNDg4M

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