書籍編集者 城村典子のブログ

ビジネスでは必ずする競合調査〈類書を見ないで商業出版するのはもったいない その1〉

ビジネスでは類書の調査を必ずすべきです。

類書を調べる意味

企画書を作る際、類書を書く欄と、類書の差別化について書く欄があります。
ところが、類書を把握できている人がすごく少ないのです。
中には「類書はありません! 私の本は世の中で今までなかった本です」
などと言う人がいたりしますが、それはたいへん危険な話です。

類書は、自分の本との比較、差別化に必要なものであり、
世の中のどこの位置にあるのかを示す存在なのです。
もし「類書はありません!」というのが本当なら、
それは、「私の本は、この世の中に立ち位置がない」という宣言に等しいので、
「類書はありません!」とは言ってほしくない、というのが私の正直な気持ちです。

類書の調べ方

類書はどのように調べるのがいいのでしょうか。
それにはまず、
「自分のターゲットとなるコンテンツのキーワードを探す」
ことから始めましょう。

たとえば、マナーの先生でしたら、
「マナー」という言葉もそうですし、マナーにまつわる「挨拶」や「礼儀」など、
いろいろなキーワードが浮かんでくるはずです。
そのキーワードをAmazonで検索すると出てくる本があります。
すると、自分が書きたい本のライバルがだんだん見えてきます。

ライバルを見つけたら、本を1冊ずつ読むのではなく、
俯瞰的に「鳥の目」で見ることです。
本の内容は「ざっくりと何なのか?」
著者は何者で、どのような立ち位置から語っているのか?
その2点が、自分のコンテンツとの比較、類書との差別化の
すごく重要な鍵となります。

例として、キーワードを「チラシ」で検索して、
以下のような類書が見えてきた事例をお伝えしましょう。

1.NPO団体の女性が書いたチラシの本(バザーや紙芝居の案内例)
2.デザイン研究者の書いたチラシの本(目的別のチラシのデザイン)
3.元・博報堂の部長が書いたチラシの本(売れるチラシ)
上記の3つを比べてみると、
同じ「チラシ」に関する本であっても、
まったく立ち位置が違うことがわかります。

このように類書を調べることは、
自分はどの立ち位置から発信するのか、
それを考えるきっかけになります。

もし私がチラシに関する本の出版を考えるなら、
「編集者が語る、売れる本のチラシ」という、
誰ともエリアがかぶらない本にするでしょう。

このように、自分の本が生まれるエリアを見出すのが
類書を調べる意義なのです。

類書から学ぶことはたくさんあります。
なぜなら、それらの書籍は、
出版社の企画会議をくぐり抜けてきた本なのですから。

タイトルは? どの出版社から出版するのか?
定価のつけ方、著者の立ち位置、など、
読者視点ではない企画側の視点がわかってきます。

だから、類書に学ばない手はありません!
企画書を作るにあたって、
漫然と類書を挙げるのではなく、
ぜひ上記の話を頭に入れて、類書を調べてみてください。

「定点観測」をする

編集者は当然、類書の調査はします。
しかし、ひとつのエリア、コンテンツを定点観測する編集者はいません。
そのときに自分が担当している本の類書を調査して、
その後は粛々と本を作っていくだけなので、類書を定点観測することはないのです。

でも、著者なら定点観測で調べることができます。
書店などで自分のコンテンツのエリアの本棚をチェックして、
著者なのですから、少なくとも1ヶ月に1回は観測しましょう。

定点観測をすることで見えてくるのは、
・どのような著者がいるか
・未来に活動すべきこと
・売れている人の様子
・リアルな動きとAmazonランキングの連動(動きがあるとランキングが推移しやすい)
・新人の登場
・全体的な流れ→本のトレンド
・出版社それぞれの特徴
などです。

本を出したいならば類書調査は必ずしましょう。
本はパブリックに出ているものですから、
自分で調査することも容易いのです。

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