『よい同調圧力を組織の武器にする 「やっちゃだめ」を「やっていい」に変え、メンバーのやる気を引き出す8つの方法 』
林 祥晃
翔泳社
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「同調圧力」という言葉を聞くと、
あまり良いイメージを持たない人が多いでしょう。
空気を読む。
出る杭は打たれる。
みんなと同じでいなければならない。
そんな息苦しさを想像します。
私自身も、同調圧力という言葉には
どちらかというとネガティブな印象を持っていました。
ところが、
この本はまったく逆のことを言います。
問題なのは
同調圧力そのものではない。
問題なのは
『どんな方向に同調圧力が働いているか』
です。
『「やっちゃダメ」の空気』について
考えてみると、
世の中には
たくさんの
「やっちゃダメ」
があります。
目立っちゃダメ。
失敗しちゃダメ。
質問しちゃダメ。
意見を言っちゃダメ。
挑戦しちゃダメ。
すると、
人は能力がなくなるのではありません。
能力を出さなくなります。
本書では、
組織の中にある
「やっちゃダメ」の空気が、
メンバーの主体性を奪っていると指摘しています。
私はこれを読みながら、
日頃の私の毎日、出版の世界もそうだなあと。
『著者もまた「同調圧力」の中にいる』
出版の相談を受けていると、
多くの人が
「本を書きたい」と言いながら、
そのあと必ず出てくる言葉があります。
「私なんかが」
「まだ早いですよね」
「実績がないので」
「もっと勉強してから」
不思議です。
本を書きたいのに、
書いてはいけない理由を探し始める。
もちろん、
謙虚さは大切です。
しかし、
その裏側には
社会の中で身につけた
「出過ぎてはいけない」
という空気があるようにも感じます。
『人は許可によって変わる』について
この本の中で、
私が最も面白いと思ったのは、
著者が
「やっちゃダメ」
ではなく
「やっていい」
という同調圧力を作ろうとしていることです。
挑戦していい。
失敗していい。
意見を言っていい。
助けを求めていい。
そういう空気ができると、
人は急に能力を発揮し始めます。
能力が増えたのではありません。
許可が出たのです。
私はこれを
出版の現場で何度も見てきました。
著者は、
技術だけで生まれるわけではありません。
許可で生まれます。
「あなたの経験には価値があります」
「それを語っていいんです」
「世の中に届けていいんです」
そう言われた瞬間に、
人は急に言葉を持ち始めます。
『社会接続とは何か』
私は
出版は社会接続だと思ってます。
自分の価値を
社会の価値へ翻訳すること。
でもその前に必要なのは、
自分自身への許可かもしれません。
表現していい。
失敗していい。
挑戦していい。
そうした空気の中で、
人は初めて社会とつながれる。
この本は組織論の本です。
しかし読後に残ったのは、
マネジメント論ではありません。
人は、
能力によって成長するのではなく、
環境によって成長する。
そして、
その環境をつくるのが
リーダーの仕事なのだ。
そんなことを考えさせられる一冊です。
「どうして人は動かないのか」
ではなく、
『「人が動ける空気をどう作るのか」』
を考えたい方におすすめの一冊です。
(終)
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