『世界一流の社交術 』
ビューカー 清美
株式会社アルク
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ワシントンDCの日本大使館で30年以上、
ソーシャル・セクレタリーとして活躍してきた著者が書いた本です。
タイトルだけ見ると、
名刺交換の方法とか、
雑談のコツとか、
会食マナーとか、
そんな話と思うかもしれません。
もちろん、それも書いてあります。
しかし、
この本は
社交術の本ではないのです。
『人生は、出会った人でできている』
考えてみれば、
私たちの人生は
出会った人でできています。
そもそも、親の影響から始まりますが、
成長し、社会との接点に触れると
ある日偶然出会った誰かが
きっかけだったりします。
今の仕事。
今の価値観。
今の挑戦。
今の仲間。
著者も、
ワシントンDCでの経験を通じて、
人との出会いが未来を変える瞬間を何度も見てきたと言います。
興味深いのは
一流の人ほど「人脈を作ろう」
としていないことです。
むしろ、相手を理解しようとする。
相手の役に立とうとする。
相手との信頼を積み重ねる。
そんな地味なことを、徹底している。
だから結果として、人が集まる。
私は出版の仕事をしているわけですが、
『出版もまた、社交である』
と感じます。
出版というと、
権威? 文章力?
出版社?
何か、一般とは遠い、
そんなイメージがあります。
–
でも実際は、
出版も人の仕事です。
編集者との出会い。
読者との出会い。
仲間との出会い。
応援者との出会い。
本が売れるかどうかも、
著者として成長できるかどうかも、
結局は人との関係の中で決まります。
だから私は、
出版とは社会接続だと言っています。
自分の価値を、
社会の価値へ翻訳すること。
その翻訳の入口は、
いつだって
人との出会いです。
この本では、こんなことを語ってると感じます。
本当に価値があるのは
人脈ではなく、縁。
縁は作るものではありません。
育てるものです。
会ったら終わりではなく、
会ったあとにどう関わるか。
相手を覚えているか。
感謝を伝えているか。
役に立てることを探しているか。
そんな小さな積み重ねが、
未来の大きな出会いにつながっていく。
出版の世界で、
私はよく不思議な光景を見ます。
本を出す人は、
必ずしも一番優秀な人ではありません。
一番実績がある人でもありません。
では誰が本を出すのか。
人とのつながりを大切にした人です。
編集者に出会い、
読者に出会い、
応援してくれる人に出会い、
その縁を育てた人です。
著者になるとは、
文章を書くことではない。
人とつながることだ。
本書の帯には、
こんなメッセージがあります。
「デジタル時代、最後に差がつくのはリアルな人間関係力」
AIが進化する。
情報は簡単に手に入る。
発信も誰でもできる。
だからこそ、
最後に残るのは
人と人との関係なのだと思います。
どんな情報を持っているかではなく、
誰と信頼を築いているか。
どれだけ知識があるかではなく、
誰のためにその知識を使うのか。
そんな時代になっていくのでしょう。
この本は社交術の本です。
しかし私には、
「人との出会いを、未来への投資として扱う本」
に見えました。
(終)
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