立場の違いを見事に描く、読む人の心、それぞれに深く刺さる本

「シニアの品格」
小屋一雄 著
小学館 刊
https://www.amazon.co.jp/shinianohinnkaku/dp/4093884811

 

 

年齢を重ねることは
経験を重ねること。

 

時には、その経験が邪魔をします。

素敵に年齢を重ねるっていうことの答えが見つかる本。

 

主人公の東条は、一生懸命生きています。

一生懸命仕事をし、正しいことをしてきた。

 

だけど、あることをきっかけに
定年間際のタイミングで、出世街道を外れ
ある部署に配属。

上司は、15歳年下という環境になります。

 

この本は、主人公の視点で描く物語で構成され
老人との対話が大部分を占めます。

 

その会話の言葉に
見事に、東条の気持ちが反映され
読むものを惹きつけます。

 

なぜ、自分だけがこんな目に合うのか、

年下の部下は、何もわかっていないのに、自分を煙たがる。

妻は、どうして自分の言うことをきかないのか。

 

など、謎だらけで、腹たちまくり。

 

読む人は、この主人公のことを「わかっちゃないなー」って
思う反面、
どこか、自分を投影していたりします。

 

なぜか、テニススクールで人気の老人。

東条は、胡散臭いと思いながらも、老人と対話をするようになります。

 

老人の言葉に、ある時は憤慨し
ある時は、不思議がりながらも
言うことを信じて行動していく。

すると、東条の見る景色が変わっていきます。

 

読むものは東条のことが他人事だとは思えません。

 

言葉を追うことで起こる追体験。

 

心が澄み渡る本です。

 

 

 

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