書籍編集者 城村典子のブログ

本気で取り組むことが読者に伝わる

蒼山日菜さんという、切り絵作家がいます。
彼女のノウハウを本にしてもらったのは2010年のことでした。
実力も申し分ない著者ですが、
本の出る前後から、テレビをはじめとするメディア露出も増え、
どんどん知名度があがって行きました。
彼女のようになりたい! と憧れる人も大勢いるわけですが、
本人は言います。
「そんなに甘くないです。画家ほど過酷なジャンルはないです。
そしてこんな儲からない商売ないですよ(笑)
みなさん、私の収入知らないだけ。
出費も半端ない。息子に迷惑だけはかけない。と決めてるだけで、
大して喜ばしい仕事じゃないです。
【ただ、好きだから】この仕事に就いているだけです」
(8月2日のFacebookより)
中途半端な気持ちで、作家になろうと思うなかれ。
少し上手になったからとおごるなかれ。
慢心すれば、すぐに質が落ちる。
お金のためと思えばすぐに質が落ちる。
「楽しいから、好きだから無我夢中」という感覚を忘れない。
そう語ります。
私が感じる「著者の鏡だな」と思う方がいますが、
蒼山さんもまぎれなくその一人です。
「自分の作品を創る」
「人にも教える」
本としては、作品集も出しますが、
切り絵のノウハウの本も出す。
自分の活動の軌跡が本という形で表現されています。
メディアにも出るし、本を広めことにも真剣に取り組みます。
本当に切り絵が好きだし。
本を出すことは、
切り絵を愛する読者に伝えるための「使命」とも思える
姿勢を感じます。
だからこそ、彼女には多くのファンがいるのだと思います。
書籍の企画を考える際
どうしたら、出版社に採用される企画になるか。
もちろん、考える必要があるのですが
自分の強みや、自分の軸とずれた企画書にまでしてしまっては、
何のために本を出すのか、本末転倒です。
「自分が真剣に打ち込んだ体験」から見えてきたことこそが
読者に対しても自信を持って伝えられることなのです。

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