知性大全 AI時代に不可欠な力

『知性大全 AI時代に不可欠な力』
樺沢 紫苑
サンクチュアリ出版
https://amzn.asia/d/00wGt5TL

気づきを突きつけてくれる本です。

私の感じるテーマは こちら
『分からなくても生きていける時代」
         に、私たちは何を失うのか』

最近、つくづく思います。

今の私たちは、「分かる」
という経験が少なくなっているのではないか。

分からないことがあれば、検索すればいい。
誰かが解説してくれる。
SNSを見れば、それらしい意見が流れてくる。
そして今は、AIに聞けば、
かなり整った答えが、ほんの数秒で返ってきます。

便利です。
私自身、AIをかなり使っていますし、
これからもっと使っていくだろうと思っています。

でも、便利になればなるほど、
ちょっと気になることがあります。

それを、自分は本当に「分かっている」のだろうか。
ということです。

【「正解っぽいもの」があれば、困らない】

今は、自分が分かっているかどうかを
それほど意識しなくても生きていけます。

正解っぽい情報を見つけて、
それらしく使えばいい。

仕事でも、
それらしい資料をつくる。
それらしい言葉で説明する。
それらしい結論を出す。

多少分かっていなくても、
それですぐに死ぬわけではありません。
明日も会社に行けるし、
日常生活も続いていく。

むしろ、
「分からないままでも、それなりに生きていけるためのツール」が、ものすごく増えた。
そんなふうにも思います。

これは、今の人たちが衰えたという話ではありません。
環境がそうなったのです。

そしてAIの登場によって、
この環境はさらに加速していくのだと思います。

【でも、「分かる」は大きい】

『知性大全 AI時代に不可欠な力』を読むと
さらに、「分かる」の重要性を感じます。

この本で扱われている「知性」は、
単に知識をたくさん持っているとか、
頭の回転が速いという話ではありません。

「知る」「考える」「決断する」「行動する」「フィードバックする」。
知性が、現実を動かすところまでつながっているところ
これ、大共感です。

みんな、バーチャルで生き始めてる。

私はその中でも、
「行動」
という言葉が大きい。

人が何かを成そうとしたとき、
最後は行動するしかありません。

いくら知っていても、
いくら考えていても、
いくら素晴らしい答えを持っていても、
行動しなければ、現実は変わらない。

では、人はいつ行動するのだろう。

私は、
本当に「分かった」ときなのではないか
と思うのです。

【「知っている」と「分かっている」は違う】

「ああ、そういうことだったのか」
と、何かが腑に落ちた経験は、
誰にでもあると思います。

それまでバラバラだったものが、
ある瞬間につながる。

すると、
「だったら、こうすればいい」
が見えてくる。

私は、この感覚がとても大事だと思っています。
情報を持っていることと、
分かっていることは違う。

そして、
「分かる」と「行動する」は、かなり近いところにある。

だからこそ、
情報が簡単に手に入る時代になればなるほど、
「私は本当に分かったのか?」
という問いを持つことが、
以前より大切になるのではないでしょうか。

本書でも、AIによって情報量の差が小さくなる一方で、
情報や知識をアウトプットし、
フィードバックまでつなげられるかどうかが
差になると述べられています。

【何かを成すより、「何事もなく生きる」になってないか】

もう一つ、最近感じることがあります。
私たちはいつの間にか、
何かを成すことより、何事もなく生きること
に、ずいぶん心を奪われているのではないか。

失敗しない。
間違えない。
傷つかない。
損をしない。
面倒なことを増やさない。

もちろん、それらも大切です。
でも、それだけを優先していたら、
人生はなかなか動かない。

人間が何かを成すときには、
考えて、
決めて、
やってみて、
失敗して、
また考える。

結局、それを繰り返すしかありません。
『知性大全』が、知性を頭の中だけに閉じ込めず、
行動やフィードバックまで含めて捉えていることに
私はとても共感しました。

【AIを武器にする人、AIに依存する人】

そして、これからはここが、
かなり大きく二極化するのではないかと思っています。
AIを武器にする人と、AIに依存する人。

私は、AIを使わないほうがいいとはまったく思いません。
むしろ使えばいい。
私自身も使っています。

でも、
AIから出てきた答えを見て、
「なるほど」
で終わるのか。

それとも、
「なぜ?」
「本当に?」
「これは自分の場合にも当てはまる?」
「私はどう考える?」
「では、何をする?」
と、そこから思考を続けるのか。

同じAIを使っていても、
この違いは大きい。

AIに答えを出してもらって思考を終えるのか。
AIを使って、さらに思考を深めるのか。
AIが便利になればなるほど、
この差は広がっていく気がします。

【出版もまた、「本当に分かっているのか」を問われる】

私は出版の仕事をしていますので、
ここで少しだけ出版の話を。

著者になろうとすると、
自分が知っていることを並べるだけでは、
なかなか本にはなりません。

「なぜ、そう言えるんですか?」
「具体的には?」
「それは誰にでも当てはまりますか?」
「あなた自身は、そこから何を発見したんですか?」

編集者からも問われますし、
原稿を書きながら、
自分自身からも問われます。

だから私は、
出版とは、
自分が本当に分かっているのかを確かめ続ける作業
でもあると思っています。

知っているつもりだったことを、
もう一度考える。
言葉にする。
人に伝える。
反応をもらう。
すると、また分かる。

出版には、
そんな循環があります。

だから私は、出版をすると、
その人自身の行動まで変わっていくことがあるのだと思っています。

【答えが簡単に手に入る時代だからこそ】

これから先、
「答え」はもっと簡単に手に入るようになるでしょう。

だからこそ必要になるのは、
答えをたくさん持っていることではなく、
自分が本当に分かっているのかを問い続けること。

知る。
考える。
分かる。
決める。
行動する。
そして、起きたことから、また考える。

この循環を持っている人にとって、
AIはものすごい武器になる。

逆に、この循環を手放してしまえば、
AIが優秀になればなるほど、
自分で考える必要はなくなっていくのかもしれません。

『知性大全』を読みながら、
AI時代に問われているのは、
AIを使えるかどうかだけではない。
「あなたは、自分で分かろうとしているか?」
なのかもしれないと思いました。

そして、
分かったなら、動く。
動いたなら、また考える。

結局、人が何かを成すのは、
その繰り返しなのだと思います。
城村は、ウエブ心理塾で登壇の機会をいただいています

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(終)

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