LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界

「LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界」
デビッド・A・シンクレア(著)、マシュー・D・ラプラント(著)、梶山あゆみ(訳)
東洋経済新報社
https://www.amazon.co.jp/dp/4492046747/

 

ずっとランキングに入っているヒット作です。

 

この著者のおばあさんは(自分のことをおばあさんとは呼ばせませんでしたが)

「ずっと6歳でいなさい」と著者に教えます。

 

戦争を乗り越え、たくましく生きてきて、

かつ人生を楽しむ人で、

「ビキニ」で泳ぐなんてとんでもない!というのに実行し、海岸から出禁になるような人。

 

2014年に「タイム」誌による「世界に最も影響を与えた100人」の1人にも選出された

世界的に有名な科学者がなぜ「老化」に関心をもち「遺伝学」を学んでいるかのエピソードは、

こんなおばあさんとの話から始まります。

 

確かに6歳というのは、まだ、この世とあの世の

境目の歳なのかしらと思います。

 

七五三があるように、子どもは、この世に本当に存在し続けられるのか

生きていて欲しいと願いながら、見守る時代もありました。

 

今は、乳幼児の存命率が上がり、命こそ落とす確率は低いにしても

著者の祖母が語る「6歳のまま生きなさい」というのは

本文では、その好奇心、向上心、探究心のまま生きろ

(社会の規範に囚われて、人はあっという間にそれを忘れる)という意図を表しています。

 

一方、その、一番、人が

生命としての本能を持ち

かつ、社会性の入口に立つ6歳は

刹那のタイミングなのかもしれない

と思ったりするのは命の定着とも

関係するのではないかと感じます。

 

生き物として生まれた限りは、

必ず死にます。

 

医療も進み、身近な死が少なくなったように見えても人の数だけ死はあります。

 

今までも「死」に向き合う本が売れたことは

多々あり、

去年発売された「「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義」もずっと売れ続けています。

 

この系譜の中でもこの本が人々の心を打つのは、

「死」を前提としながら「生きる」を変える。

 

「生きる」の概念を変えるアプローチが単に、健康寿命を伸ばす

ということだけでなく多くの読者の

心に届くのでしょう。

 

私も、最近「年齢を重ねるのが怖いのではなく

自分の精神が老化することが怖い」と思い始めてましたから

まさしくこの本のターゲットです。

 

「死」を考えることが

「生きる」を考えること。

 

後世のために、今生きる人は、

本で知見を残すことが

使命だと思っています。

(終)

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