書籍編集者 城村典子のブログ

著者になる資格があると信じてください

世で開催される多くの出版の講座では、
どうしても「売れる本」がすばらしい、ということになっています。
いきおい「売れる本」とはどういうものか、ということが
メインテーマとなります。
ヒットしている本は、多くの人が知っていて
「ああ、あれね」と興味も持ちやすいですし、
目指すはトップ! と言われると
何事も目標値が高くなければ、という志も生まれてきます。
私は、ヒットする本の狙い方は、それはそれでセオリーもあるし
方法論はよくよく納得します。
私自身が担当した本で、万の単位の本は
やはり、そのセオリーを踏んでいると実感します。
しかし、ヒットする本というのは、年間8万点の本が出版されている中の
本当に一部です。
雑誌「ダ・ヴィンチ」の7月号、
北尾トロ氏の連載「走れ!トロイカ学習帳」で
とっても共感する記事がありました。
出版界の現状は、町の中華料理店のメニューに似ている。
というのです。
言い方が良いかは別として、町の中華料理店はやたらとメニューがある。
多数のメニューの中からお客さんは選べる喜びがあるということらしいです。
実際、本を読む読者は、かなりわがままです。
例えば、小さい子どものいない人は育児本は読みませんが、
ターゲット層の人には、関心がある。
趣味の世界は、もう少し深く狭く、
軍艦、建築、デザインなど、とても高額な本もありますが、
価値を感じない人には高くても
必要な人には、当然の値段。
本というのは、本当に、ターゲットがもともとニッチなのです。
私の講義では、
まず、自分の強みを捉えてから、読者を考えよう
ということを推奨しています。
例えば、女性タレントは、
料理の専門家や育児の専門家でもなくても
人気さえあれば
結婚して、子どもを産んだりしたら本がでるものです。
無名な人が、そのレベルの知名度の人と同じ企画を考えても
当然戦略を間違えます。
著者を目指そうとしている人は
ほとんどが、仕事をもっており、その筋のプロです。
その筋で、立派に仕事をして生計を立てている・・・
そのことが、すでに、ライバルに何かの差別化をして
勝っているので、そこからスタートするのが正しい。
北尾トロさんの記事でも
「本を書きたければニッチで行こう!」
「ニッチな本作りが編集者を光らせた」
「てっぺんを目指すな 峠を攻めろ」
と、あります。
自身の強みの延長にしか、いい本は生まれません。
また、その企画からしかヒットは生まれないのも真実です。
自分が仕事をしてきた道、実績を信じて、
出版企画に向き合ってほしいと思います。

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